2択に1つの恋愛
すると、先生が教室に入ってきた。
男性で、40代くらいの人。
指輪はついている。
「起立」
ガラッという音がする。
そろわないこの音は、私的には好きだ。
「礼。着席」
健康観察をするぞーと言って、先生はクラスの人たちの顔を見渡す。
「・・・ん? 今日もいない奴がいるな。えっと・・・」
先生が票の中でその人の名前を探していると・・・
「すみません。遅れちゃいました?」
ガラッという音とともにその声が聞こえた。
なんとなく聞き覚えのある声に、私は振り向いた。
教室の入り口に立っているのは、ドアの1番高いところまで身長が届きそうな男子生徒。
サラサラの髪の毛はなんとなく朝見たな~と思った。
そして、その顔は昨日見たものでもあった。
「昨日は昼まで寝てました、すみません。今日は猫にかまってて遅れました」
お辞儀をして顔を上げ、先生に対して怖気付かずににこっと笑う彼の姿に、皆が見とれているのを感じた。
「初めましてみなさん。今年から日本に移住してきたフランス生まれの純粋なフランス人で、名前はレオと言います。よろしくお願いします」
女子全員、好きになってもしょうがないくらいの綺麗な顔立ち。
大人みたいな丁寧な言葉遣い。
昨日と同じように・・・いや、それ以上に。
私の心臓が高鳴りする。
レオ=マルタン
私と同い年の高校生だった。