2択に1つの恋愛
「おはよ!」
「おはよ、春」
今日は高校の入学式がある日。
新1年生になる私は、隈のできた顔を隠すようにうつむき加減で家を出た。
外に出ると、家が近所でよくクラスが一緒になる幼馴染の前田春がいた。
「あ・・・また隈作ったな~?」
「笑い気味に言うこと!?」
「緊張してるとよく眠れないの、昔から変わんねぇな(笑)」
「あたしゃガキか」
「うん」
「・・・そこは、『そんなことない。綺麗なレディになったよ』っていうところ」
「ここは日本です。外国とは違いますよ」
「外国に2年関いたくせに・・・」
春はアハハと笑う。
目じりに少ししわが寄り、少し長めの前髪が目にかかった。
この優男、前田春は、中学の頃2年間外国に行っていた。
父親がなんかすごい指揮者らしくて、父親についていって、勉強してきたらしいが・・・
私は吹奏楽とか、楽器には興味ないのだ。
「でもまぁ、春は身長が無いもんね」
私は背伸びをして、目線がほぼ一緒になった春を見てニヤリと微笑む。
春は男子だから身長は結構気にしているのか、ムッとして言ってきた。
「お前が高いんだろ。俺は別に低くない」
「170いってない奴が(笑)」
「笑うんじゃねえっ!!」
「きゃー、怖いっ♪」
私はわざとらしく乙女ぶってそう言うと、春から逃げ出すように走り出した。
「待てい! 絞めてやる・・・」
「おっにさんこっちら、てーのなーるほうへ♪」
私はどんどん春との距離を広めた。
吹奏楽部が陸上部に勝てると思うなよ!!