2択に1つの恋愛

「あ~・・・春ってば、誰に呼び出されたのかな~?」


「・・・はてね」


加奈は少し考えた後、眉を上げてそう言った。

なんだかわざとらしい物言いに私は突っかかった。


「むむ・・・何か知っていそうな顔ですな、加奈教授」


「私は教授ではありません。博士です(ドヤ)」


「えっ!? 私が博士じゃないの?」


「私の方が頭いい」


「・・・そうやって正面から言うこと? 私がバカってことみたいじゃ――」


「そう」


私の心は一瞬にして大きなダメージを受けた!

春休み中も遊びまくっていたけれども!

受験もギリギリだったけれども!

こんなにはっきり言ってくるのは加奈しかいないよ!


「加奈・・・」


「なに?」


「泣きたい」


「どうぞ」


「冷たい」


「今の気温は9度。全然寒くない」


「加奈・・・」


「なに?」


「・・・大好き」


「ありがと。お待ちかねの王子様が来たわよ、泣き虫のシンデレラ」


加奈が言った通り、振り向くと春が軽く走って近づいてきていた。


「お待たせ!」


「なにしてたの?」


「ん・・・ちょっと話してた」


なんか隠してるみたいなよそ見。

気になったけれど、隠すからには深く聞いちゃいかん。


「そ。では諸君! いざ、カラオケに参ろうぞ!!」


「おーっ!!」


「おー」


「加奈、ノリが悪い!」


「門の前で恥ずい」


「恥を捨てろ!」


「捨てる理由が無い」


「・・・加奈のアホー」


「ありがと」


「おいおい」


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