願わくはキミに
「じゃ」
彼はそう言って後ろを向いて、さっき通った道をもう一度歩いて行った。
もしかしたら、彼の家はもう通りすぎていたのかもしれない。
そう思ったら何故だか私は蓮さんを呼び止めていた。
「…あのっ!!」
私の声に気付いた蓮さんはくるりと振り返り、私の目を捉えた。
呼び止めたのはいいが何を言えばいいのか分からなくなってしまった。
そんな私に気付いたのか、蓮さんは私にちゃんと聞こえるように箱を高くあげた。
「ちゃんと手当てするよ」
そう笑ってまた暗闇のなかに消えていった。