願わくはキミに


きっといつもの私なら断るところだけど、今日に限っては仕方ない!

なんて可愛くもないことを考えて後ろに乗った。


「ほら」なんて白いヘルメットを貰い頭に着け、彼の腰に手を回す。


目の前には栗色のふわっふわな無作為に整えられた髪の毛が視界に映った。


蓮さんとは全然違う…


「ねぇ…あなたはヘルメットしないの?」


「1つしか持ってねぇ」


「え?!」


「飛ばすからちゃんと掴まってろよ」


「ちょ、ちょっと待っ…」


「あと、俺の名前隼人(はやと)だから」


彼はそれだけ言って、オートバイのエンジンをきった。


運転中はずっと、彼の真っ白なシャツをずっと見ていた。


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