願わくはキミに


住民たちが囲っていたのは、男子二人。


一人はキレて、もう一人は一方的に殴られてるみたい。

砂浜の白い砂に生々しい血の跡が残る。



___ち、ちょっと、何やってんの……



私はいてもたってもいられなくなり二人の間に入ろうとしたが、喧嘩なんてこの18年間、お姉ちゃんと下らない喧嘩しかしたことないから止め方がわからなかった。


私が躊躇して二人を見つめると、一方的に殴られてる男と目があった。


おでこにはかすり傷、頬は蜂に刺されたように腫れて、口元は血だらけ。


その男は私と目が合うと驚いた表情で口を動かした。


なんだか、悲しそうな顔をして。

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