願わくはキミに


「…ハル、キ」


確かに、彼はこう言った。


もう一人の男は襟元を持って殴ろうとしたが、そう呟いた瞬間、顔面すれすれで殴る手を止めた。


手に、あり得ないほど血が付いていた。


彼は便乗して私を見た。

また、驚いた顔をして。


___どうして、私の名前…



「ハッ、とうとうおかしくなったか?」


殴った彼は馬鹿にしたように、襟元から手をパッと放し呟いた彼を鋭く睨んだ。


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