願わくはキミに
「お前何やってんだ、蓮!」
彼を見つめていると、どこからか大声が聞こえた。
「毎年毎年。っこんの、馬鹿が!」
いきなり現れたその声の持ち主は、彼の頭をゴンと殴り彼にそういった。
片手には漁で使うような網を掲げており、その人は漁師だと納得した。
…痛そう。
「…いてーな、くそジジイ」
彼はその黒い瞳で睨み付け、またフラフラな状態でその場を離れた。
私は彼が心配で後を追っかけようとしたが、くそジジイと呼ばれたその漁師さんが怒鳴り付けるように彼の後を追ったので行くに行けなかった。