願わくはキミに
「…あいつら、まだ殴り合いなんかしてるのね」
ボソッと零れるように漏らした声が震えていて泣きそうな顔が横を向いていても私には分かった。
ももかさんは泣かないようにか、グイッとカクテルを最後まで飲み干し追加するために席を離れた。
なにかあるのだろう。
でも、何も話してこないからきっと話したくないことなのだと直感した。
私だって話したくないことは山ほどあるから。
安易に踏み込んではいけないと、口を閉じてウーロン茶を飲み干した。
私も追加しようと席を立とうとした時。
「どこいくんだ~新人~?」
森崎先輩に捕まった。