願わくはキミに
私は引き下がることなく、彼に絆創膏を渡す。
だって、そのままにしといて血が止まらなくなって死んだら、罪悪感に埋もれて死んでしまうかもしれない。
そしたら、私がここに来た意味がなくなってしまう。
大袈裟かもしれないけど人っていつ死ぬか分からないから。
私が引き下がらないと観念したのか、箱ごと貰ってくれた。
そして一言「…ありがとう」と呟くようにそう言った。
寮までは送らなくていいと断ったのに、「女の子をこんな夜道に置いて帰れない」と言われて何も言えなくなってしまい素直に送られてしまった。
「ありがとうございました」
「いやいや。こちらこそ、これどーも」
蓮さんはそう言って絆創膏の箱を左右に振った。