Butterfly
私の自宅前に、シルバーの車が到着した。
時刻は深夜1時をまわっている。
けれど我が家は、私を待っているのだろう、部屋の灯りがついていた。
(心配してるよね・・・)
お父さんとお母さんの、第一声はなんだろう。
私もなんて言おうかと、我が家を前に緊張した。
「じゃあ・・・すみません、ありがとうございました」
「ああ。ゆっくり休んで」
「はい」と頷き、シートベルトをガチャリとはずす。
そしてカバンを手にした瞬間に、もうひとつの心配事がふっと頭の中をよぎった。
(・・・聞いてもいいかな)
どうしようかとためらいながら、意を決し、私はそれを口にした。
「あの・・・」
「なに?」
「咲良は・・・羽鳥さんはどうなりましたか?」
私と同様、任意同行された彼女のこと。
私はこうして釈放されたけど、咲良はどうなったのだろう。
ドキドキしながら答えを待つと、市谷さんは前を向いたまま、淡々とした口調で答えた。
「彼女は、もう少し時間がかかると思う」
「・・・そうですか・・・」
そうすると、今日は警察署に泊まることになるのだろう。
悠翔さんに高級時計を贈っていた、咲良の顔を思い出す。
(あんな咲良は初めて見たし、すごくびっくりしたけれど・・・)
すぐにそれを打ち消すように、いつもの柔らかい咲良の笑顔が、私の脳裏に思い浮かんだ。
(絶対に、何もない・・・)
根拠なんてないけれど。
咲良はきっと、悪いことなんてしていない。
疑うような不安な気持ちが、ないと言ったら嘘になるけど。
それでも私は信じようと、自分の胸に言い聞かせた。
時刻は深夜1時をまわっている。
けれど我が家は、私を待っているのだろう、部屋の灯りがついていた。
(心配してるよね・・・)
お父さんとお母さんの、第一声はなんだろう。
私もなんて言おうかと、我が家を前に緊張した。
「じゃあ・・・すみません、ありがとうございました」
「ああ。ゆっくり休んで」
「はい」と頷き、シートベルトをガチャリとはずす。
そしてカバンを手にした瞬間に、もうひとつの心配事がふっと頭の中をよぎった。
(・・・聞いてもいいかな)
どうしようかとためらいながら、意を決し、私はそれを口にした。
「あの・・・」
「なに?」
「咲良は・・・羽鳥さんはどうなりましたか?」
私と同様、任意同行された彼女のこと。
私はこうして釈放されたけど、咲良はどうなったのだろう。
ドキドキしながら答えを待つと、市谷さんは前を向いたまま、淡々とした口調で答えた。
「彼女は、もう少し時間がかかると思う」
「・・・そうですか・・・」
そうすると、今日は警察署に泊まることになるのだろう。
悠翔さんに高級時計を贈っていた、咲良の顔を思い出す。
(あんな咲良は初めて見たし、すごくびっくりしたけれど・・・)
すぐにそれを打ち消すように、いつもの柔らかい咲良の笑顔が、私の脳裏に思い浮かんだ。
(絶対に、何もない・・・)
根拠なんてないけれど。
咲良はきっと、悪いことなんてしていない。
疑うような不安な気持ちが、ないと言ったら嘘になるけど。
それでも私は信じようと、自分の胸に言い聞かせた。