Butterfly
「岡本なら大丈夫だ」って、最後に言ってくれたっけ。


(・・・そうだよね)


このままずっと何もせず、彼と連絡が途絶えたら。

そんなこと、私は絶対にいやだと思った。

蒼佑さんのことが好き。だけど、彼と向き合うのは怖い。

でもこのままじゃ、彼に嫌われたまま、もう、会えなくなってしまうかもしれない。


(やっぱり、そんなのは絶対にいや・・・)


少しでも、勇気を出したい。今よりもう少しだけでも、前に進むための勇気。

二人になら、彼とのことを打ち明けて、何かが踏み出せるような気がした。

「あの・・・。実はすごくいろいろなことがあって・・・。話、聞いてもらってもいいですか?」

里佳さんと玲奈さんに、決意を固めて言ってみた。

すると二人は顔を見合わせて「もちろん!」と言って笑ってくれた。

「じゃあ、仕事終わったらうちに寄ってごはんはどーお?チビが一人いるけどさ。お店よりはゆっくりできるし」

玲奈さんの言葉に、里佳さんは「賛成ー!」と言って私もコクリと頷いた。

「じゃあ決まり。ちょうど残り物もたくさんあるから」

「ちょっとした居酒屋だよ」、と玲奈さんが笑う。

こうして、私は里佳さんとともに、玲奈さんの家におじゃますることになったのだった。







< 113 / 186 >

この作品をシェア

pagetop