Butterfly
横目でふわりと笑いかけられ、私の胸が大きく鳴った。

やつれていても、優しい笑顔はいつも通りで、私はとてもドキドキとして、何よりとてもほっとした。

「あ、あの・・・差し入れ、持ってきたの!」

「え?」

緊張のあまり、ちょっと唐突だったけど。

おもむろに、私は手提げ袋から作ってきたばかりのおにぎりと、お弁当箱を差し出した。

蒼佑さんはとても驚いた顔をして、動きが一瞬静止した。

「・・・オレに?」

「うん」

「・・・マジか・・・ありがとう・・・」

照れた様子で、蒼佑さんが受け取った。

そしてパカッとお弁当箱の蓋を開けると、「わー」と言って笑顔を見せた。

「すげーうまそう」

からあげと卵焼きと、ほうれん草のおひたしと。

お弁当の定番メニューに彼は感激しているけれど。

「えっと・・・これはほとんど玲奈さんと里佳さんが作ってくれて・・・。

私は、おにぎり担当だったんだけど・・・」

申し訳ないながら私が事実を伝えると、蒼佑さんは「えっ」と言ってお弁当箱を脇に置く。

そして引き換えるようにおにぎりを手に取ると、急いでラップをはがしはじめた。

「いや、こっちもうまそう」

「・・・うん」

私が笑う。
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