Butterfly
「私も、事情聴取を受けたから。少しは気持ちがわかると思うんだ。

蒼佑さんにはいろいろ迷惑かけたけど、でも・・・津島さんに話して、それで・・・話したから、最後には無実だって、ちゃんとわかってもらえたでしょう。

咲良が事件に関わってるかは、もちろんまだわからないけど・・・。でも、このままだったら、やっぱり何も進まない。

だから咲良にもちゃんと話してほしいし、私も・・・本当のことを聞きたいの」

「千穂ちゃん・・・」

ダメかもしれない。けれど、話してくれるかもしれない。

結果はわからないけれど、私は言わずにいられなかった。

「お願い」

「・・・」

しばらくは、難しい顔でじっと考えていたけれど、彼は悩んだ末に「わかった」と頷いてくれた。
 
「とりあえず頼むだけは頼んでみるよ。ダメだったら・・・ごめん」

「うん。それはもう仕方ないから。・・・ありがとう、蒼佑さん」
 
「あ、いや・・・」

蒼佑さんが額をかいた。

そして突然「あっ!」と言って飛び上がり、運転席から腰を浮かせた。

「やっべ!超時間過ぎてる!」

カーナビの時計を見ると、アラーム音が鳴ってから、5分以上がたっていた。

蒼佑さんは「しまったー!!」と言って両手で頭を抱えこむ。

「市谷さんに殺される・・・!」

「あっ・・・!ご、ごめんね、私が話を長くしちゃって・・・」

「いや、千穂ちゃんのせいじゃない。オレの時間管理能力の問題なんだ」
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