Butterfly
「おもしろそうだから先に中に入れたんだけど。岡本くんて、本当に期待を裏切らないね」


(・・・おもしろそう・・・)


津島さん、そんな予感はしていたけれど・・・やっぱりSっ気があったんだ。

「なに少女漫画みたいなこと言ってるの。そんな展開、そうそう現実ないからね?」

諭すように言う津島さん。

それに佐渡さんや他の刑事さんたちも続く。

「ないな。ない。あったら完全に運命だけど」

「だなー。俺も若い頃、確かに妄想しちゃったけどなー」

「・・・うわ、本気ですか。やばいですよそれ」

取調室の、緊迫感はどこへやら。みんなわいわい話し始める。

そんなギャラリーを制圧するため、市谷さんは軽く咳払いしてまとめのように語り出す。

「とにかく。そんな心配する暇があったら、もっと他に頭を回せ」

「わかったな」と市谷さんはこれで終わりと締めくくる。

蒼佑さんは「はい」と素直に頷くも、最後の最後で余計なひと言。

「でも・・・市谷さんも、里佳さんが他の刑事を頼ったら、きっとヤキモチ焼くと思います」

市谷さんが、ピクリと眉を持ち上げた。

そしてみるみるうちに冷えた怖い顔つきになり、蒼佑さんをジロリと睨んだ。


(蒼佑さん、すごい地雷を踏んだのでは・・・)
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