Butterfly
「・・・なんでそこで里佳が出てくる」

「い、いや、その・・・同じ立場だったら、市谷さんも嫌じゃないかなーって・・・」

怯みつつ、蒼佑さんが理由を呟く。

私はハラハラと不安になりながら、事の次第を見守った。

「もちろん、自分が守れるに越したことはない。だけど、どんな時でも彼女の安全が第一だ。

自分じゃないと嫌だとか、そんな勝手な気持ちで里佳を危険にさらしたくない」

キッパリと、市谷さんが言い切った。

その毅然と宣言する様がとてもとても男らしくて、私たち女性陣はぽーっと釘付けになってしまった。

「かっこいい・・・」

「うん・・・」

「さすが愛妻家」

「熱いなー」

周りのギャラリーも、囃し立てるようにわいわい賛同し始める。

すると市谷さんははっとしたように顔を赤らめ、照れ隠しなのか、拳でバン!と机を叩いた。

「いいか。とにかく、わかったな!」

「あっ・・・!は、はい・・・!」

蒼佑さんがシャキッと敬礼。
 
龍平さんは、そんな二人の様子を見ながら、ずっと後ろで笑っていた。


(前回といい今回といい・・・いつも脱線するような・・・)


取調室での記憶をぼんやり思い出していると、津島さんが呆れた様子で話し出す。

「まあ・・・そんな少女漫画みたいなことが起こる前に、岡本くんは瀧石さんに振られるかもしれないね。

なんかすっごいめんどくさいし」

「えっ!?そ、そうですか・・・!?」

他の刑事さんたちも、津島さんの意見に頷く。
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