Butterfly
「多分、この蝶は守り神。オレに会うまで、他の男が触れないように、オレの代わりに千穂ちゃんのことをずっと守ってくれたんだ。

だから、可月にだって触れさせなかった。

・・・なんて、またオレの自分勝手な解釈だけどね」

彼が、照れたように優しく微笑む。

涙が、もう止まらなかった。

きっと、蒼佑さん以外の誰かに言われた言葉なら、ほんとにキレイごとだって、私は怒ったかもしれない。

だけど。

彼がそれを口にすると、とても優しく耳に響いて。

本当にそうだったのかもしれないと、私にはそう思えてしまった。

「だからもう、自分を否定するようなことは言わないで。

こんなことくらいで、千穂ちゃんを嫌いになったりするわけないだろ」

蒼佑さんが、私に軽くキスをした。

私は想いがこみ上げて、彼の首元にぎゅっと強く抱き付いた。

「ずっと、千穂ちゃんはオレのことあんまり好きじゃないのかなとか、そんなことを思ってたから。

いつも少しだけ距離があって・・・あと一歩が踏み込めなくて。

だけど・・・千穂ちゃんもずっと辛かったんだなって、初めて今、わかったから。

見せるのもすごく勇気がいったよね。ありがとう、話してくれて」
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