Butterfly
7.見つけた幸せ
心地良い眠りから、目覚めかけた翌日の朝。

ガタン、バタン、という音が、寝ぼけた耳に聞こえてきた。


(ん・・・)


ぼんやり重たい瞼を開けると、ちょうど、蒼佑さんがリビングから寝室へ、ワイシャツを羽織りながら入って来るところだった。


(あ・・・蒼佑さん・・・)


見慣れない朝の光景に、目をこすりながら私がゆっくり身体を起こすと、気づいた彼は立ち止まり、「あっ!」と大きな声を出す。

「ごめん!起こしちゃったか」

「・・・うん・・・へいき」

起き抜けで、私の頭はかなりぼーっとしてるけど。

彼がこれからスーツを着るのは、さすがの私も予想がついた。

「仕事?」

「うん。さっき電話があって。すぐに来いって言われてさ」

「そっか・・・」

「あ、千穂ちゃんは寝てていいよ。鍵置いとくから、適当に・・・ポストにでも入れてくれれば」


(ポストか・・・)


「ううん。起きる。急いで支度するから、一緒に出てもいい?」

「うん、いいけど・・・。大丈夫だよ、ポストで」

「ううん。やっぱりちょっと不用心な気がするし・・・それに、一緒に出れば少しでも長く一緒にいられるから」
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