Butterfly
「・・・そんなことで付き合わないよ・・・」

もちろん、怒っているわけじゃない。

けれど、彼の言葉にショックもあって、私はとても複雑な気持ちで、こわばったように口を開いた。

「・・・・・・ごめん」

蒼佑さんが、絞り出すような声を出す。

そして表情を重く曇らせて、辛そうな様子で目を伏せた。

「そうだよね・・・。何言ってるんだオレは・・・。

これじゃ、千穂ちゃんを疑ってるみたいだな。イヤな思いさせたら、ほんとにごめん」

とても、切な気な声だった。

苦しい胸を抑えながら、私は無言で首を振る。


(違う・・・。謝るのは、本当は私の方なのに・・・)


「・・・ごめん、千穂ちゃん」

うつむく私の髪を撫で、蒼佑さんは頬にキスをしてくれた。

柔らかくて、あたたかくて、とても優しい感触に、私は再び胸が痛んだ。


(私こそ、ごめんなさい・・・)


私は結局、何を望んでるんだろう。

私はこれから、どうしたらいいんだろう。
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