Butterfly
「おはようございまーす」

「7 luxe」のドアを開け、私は大きな声であいさつをした。

ちょっと明るい空元気。

それでも発した自分の声に、気持ちが少し上がった気がした。

「おー、おはよう千穂ちゃん」

「おはよう」

私を見ると、朝からお仕事中の里佳さんと玲奈さんが、笑顔で返事をしてくれた。

今日も二人は元気そう。

そんな姿を見ていたら、私も元気が湧いてきた。

「おはようございます。雨降りそうですね、外」

「ねー。日中いっぱいはもつって言ってたけど。降らないでほしいなあ」

「うん。洗濯物干してきちゃった」
 
「そっか。主婦には大問題ですね」

たわいもない雑談を交わす。

そしてひと息ついたところで、更衣室に行こうとその場を立ち去ろうとすると。

「あ、そうだ」

玲奈さんがニヤリと笑い、私のことを肘でつついて引き留めた。

「昨日、デートだったでしょう」

「えっ?あ、はい・・・。なんで知ってるんですか?」

驚く私を見て、玲奈さんと里佳さんが顔を見合わせて笑う。
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