Butterfly
彼女から恋の話を聞くなんて、これが初めてのことだった。

男性と付き合ったことはないそうだし、みんなの恋バナを聞く時も、相づちをうつくらいであまり興味がなさそうだった。


(お嬢様だから、許婚的な存在がいるのかなとも思っていたけど・・・)


「そっかあ・・・。どこで出会ったの?咲良、バイトもしてないし・・・合コンとかも行かないもんね」

「うん・・・。その・・・一人で買い物に行ったとき、声をかけられたのがきっかけなの」


(・・・ん?と、いうことは)


「ナンパってこと?」

「うん・・・どうなのかな。最初は道を聞かれただけだったんだけど・・・そのままいろいろ話してね、楽しくていい人だなって思って・・・。それから仲が良くなって」

「へえ・・・」


(運命的な気もするけど・・・)


ちょっと意外だな。

咲良が、そういうふうに出会った人と、付き合うようになるなんて。


(でも、咲良はずっと女子校で・・・出会いも全くなかったもんね)


そういうことがなければ、男の人と知り合うことすらできない気がする。

やっぱり、すごく運命的なものかもしれない。

私はワクワクとした気分になって、さらに咲良に問いかけた。

「えっと、どんな人なの?」

「すごく優しい人だよ。接客業をしているんだけど、今27歳」

「27かあ・・・。蒼佑さんより年上だね。会うとなると緊張するな・・・」

やっぱり、男の人は基本苦手だ。

面と向かって話すとなると、やっぱりドキドキしてしまう。
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