Butterfly
そのまま固まってしまった私に、咲良は慌てて言葉を足した。

「あっ、でもね、全然へんなお店じゃないんだよ。私も最初は怖いとこだと思ってたんだけど・・・」


(う、うーん・・・。ホストクラブなんて、私もよくわからないけど・・・)


「えっと、その・・・そこで働くホストの人が、咲良の彼氏なの?」

「うん」

咲良が、照れたような瞳で頷く。

その表情には、疑いの心は全くもって見当たらない。


(咲良は世間知らずのお人良しだから・・・。騙されてる気がしちゃうけど・・・)


しつこいことは承知しながら、私は心配事を再確認。

「その・・・お客さんと店員っていう関係じゃなくて、恋人っていうことなんだよね?」

「うん。『咲良だけは特別だよ』って、いつも私に言ってくれるの」

「・・・そっか・・・」


(なんか、やっぱり心配・・・)


嬉しそうに話す咲良には、ちょっと申し訳ないけれど。

付き合ってまだ二週間。デートはいつもお店だと言う。

ホストの男性から、甘い誘いを受けただけでは・・・と、心配せずにはいられない。

「・・・会ってくれる?」

咲良が、上目遣いで私を見つめる。

その表情はとても必死で、私は少し戸惑った。
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