Butterfly
見惚れてぽーっとしていた私に、「案内します」と声をかけ、咲良はそのまま大講堂まで一緒に行ってくれたんだ。


(あの時は・・・ちょっと緊張したな)


彼女は容姿も完璧で、幼稚園から入学組の正真正銘のお嬢様。

私とは、話なんて合わないだろうと勝手に思っていたけれど。

会えば自然と近づいて、お互い話すようになり。時々ランチもしたりして、徐々に距離が縮まった。


(今では、大学の中でもいちばん仲が良いもんね)


ふわふわと、ヒナドリの羽を纏ったような女の子。

そんな優しくてかわいい咲良が、私はとても大好きだ。


(とはいえ・・・)


お嬢様な彼女とは、話がかみ合わないことも時々・・・、いや、結構な頻度であったりする。

純粋培養で育った咲良は、かなり世間離れをした生活。

通学時はもちろん、どこかへお出かけする時は、専属の運転手さんがいて車で送迎してくれる。

出先で運転手さんがいない時にも、タクシー移動が基本だそうだ。


(だから未だに、電車の乗り方もよくわからないって言ってたし・・・)


いつだったか、一緒に電車で出かけたときにも、『切符の買い方がわからない』と、恥ずかしそうに言っていた。


(その仕草が、これまたすごくかわいくて・・・)


またも私はキュンとした。

咲良はそんな、同性からみてもかわいくて仕方のない女の子。

男の人がデレデレになるのは、当然だって思ってしまう。
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