Butterfly
3.現在と過去
警察署に着き、市谷さんに連れて来られたのは、ドラマでよく見る取調室。
年期の入った灰色の事務机を挟んで、私と、可月さんを逮捕した女性刑事が向き合っていた。
女性の後ろ側には、可月さんを連行した刑事・・・佐渡と呼ばれていた男性と、蒼佑さんが立っている。
佐渡さんは二十代後半ぐらいだろうか、黒縁眼鏡をかけていて、色が白く、冷たい感じのする人だ。
(なんだか、すごく居心地悪いな・・・)
三人からの、突き刺さるような矢の視線。
蒼佑さんはずっと無言で、苦しそうな、怒ったような顔をしていた。
(そうだよね・・・)
彼女の私が、ホストクラブにいたなんて。
やっぱり、行く前に事情を話しておけばよかった。
そうしたら、少なくとも今とは違う展開になっていたはず。
私は、あの時下した決断を、今更ながらに後悔した。
(・・・さっきまでは、市谷さんもいたのにな)
市谷さんは、他の刑事さんに別件で呼ばれ、「後は頼む」と言ったきり、部屋からいなくなってしまった。
(市谷さんがいれば、少し安心感があったのに・・・)
確かに見た目は怖いけど。
里佳さんの旦那様だし、話に聞く感じだと、真面目で信頼できる印象がある。
それに。
さっき、車の中で話しかけてくれたのは、私を心配してのことだと思った。
年期の入った灰色の事務机を挟んで、私と、可月さんを逮捕した女性刑事が向き合っていた。
女性の後ろ側には、可月さんを連行した刑事・・・佐渡と呼ばれていた男性と、蒼佑さんが立っている。
佐渡さんは二十代後半ぐらいだろうか、黒縁眼鏡をかけていて、色が白く、冷たい感じのする人だ。
(なんだか、すごく居心地悪いな・・・)
三人からの、突き刺さるような矢の視線。
蒼佑さんはずっと無言で、苦しそうな、怒ったような顔をしていた。
(そうだよね・・・)
彼女の私が、ホストクラブにいたなんて。
やっぱり、行く前に事情を話しておけばよかった。
そうしたら、少なくとも今とは違う展開になっていたはず。
私は、あの時下した決断を、今更ながらに後悔した。
(・・・さっきまでは、市谷さんもいたのにな)
市谷さんは、他の刑事さんに別件で呼ばれ、「後は頼む」と言ったきり、部屋からいなくなってしまった。
(市谷さんがいれば、少し安心感があったのに・・・)
確かに見た目は怖いけど。
里佳さんの旦那様だし、話に聞く感じだと、真面目で信頼できる印象がある。
それに。
さっき、車の中で話しかけてくれたのは、私を心配してのことだと思った。