Butterfly
「私と佐渡くんは、一か月前にこちらに移動してきたばかりなの。だから、あなたに会うのは初めてだけど・・・。

あなたのことは、いろんな人から話を聞くのよ。岡本くんはもちろんだけど、他の人からも・・・いろいろね」

とても意味深な言い方だった。

私は胸がもやもやとして、うつむきかけた顔を上げた。

「『桜葉女子大に通うかわいい彼女』って、すごい評判だったから。私も興味があったんだけど。確かにね。

あなた、すごくかわいい顔してる。モテるでしょう」

「・・・いえ・・・」

「謙遜しなくてもいいのよ。それでモテないはずがないもの。

かわいい女子大生のお嬢様。あなたが声をかければ、男の子なんて誰でも簡単に落とせるでしょうね」

「・・・」


(・・・なんかやだな・・・)


私はちょっとむっとした。

まるで、誰にでも声をかけていると言わんばかりの口ぶりだ。

「モテる分、普通の男の子じゃ物足りないのかな?ホストクラブに行くんだもんね」

津島さんが、挑発するようににやりと笑う。

普通の男の子というのは、蒼佑さんのことを言っているのか。

わからないけど、私は嫌な気持ちになった。

「ああ、ごめんなさい。遠まわしで嫌味みたいに聞こえるかしら。

もう率直に聞くわね。可月森次郎のことを聞きたいの。どういう関係?」
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