櫻の王子と雪の騎士 Ⅲ
改めて二人は顔を突き合わせる。
顔の赤みが引かないシェイラに対し、ルミアも心なしか頬が赤らんでいるようだ。
そんな、もじもじとする二人にやきもきする影が窓の外にふたつ。
「ちょっ、何やってんの。男なら腹くくりなさいよ」
「ルミア様に見とれてるんですね。厚かましい!」
アネルマとローグである。
悩むルミアをデート仕様に変身させた二人は、気になって仕方がなく、ここまでついてきたのだ。
「まあ、見惚れて当然ですけどね。今日のルミア様は完璧以外の何ものでもありません!」
ローグが絶賛するその姿は
清楚かつ、やや色っぽさを加えた化粧
長く伸びた柔らかな髪は見事に編み込まれ、ユウから貰った薔薇のバレッタがよく映える。
肩と胸元が大きく開いた白のオフショルダーに、同じく白のふわふわとした超ミニのショートパンツ。
そこからすらりと伸びた長い真っ白な足元には瑠璃色のピンヒール。
二人が厳選したその服装に包まれた彼女は、どこからどう見ても非の打ちどころのない出来栄えだった。
一方、彼女のペアであるシェイラもなかなかのルックス。
普段の王族らしいゆったりとした豪勢な服装とは打って変わり、身体のラインがしっかりと分かる格好だ。
肩程までに伸びた癖のある金髪は高価なリボンでくくられ、左耳には黒曜のイヤリングがきらりと光る。
珍しく黒で統一されたその姿は、上品な中にカジュアルさもあってなかなかおしゃれ。
しかし、
「...あの格好、シェイラらしくないわ」と、アネルマは怪訝な表情。
ローグも同感なようで、怪しむ二人は少し考え込むと頷き、お互い反対方向に、第三校舎の壁伝いに走り始めた。
ぐるりとまわり、丁度反対側で二人が見つけたのは...
「げ、」
「まじかよ」
「やっぱり。あんたらか!!」
そこにはローグやアネルマと同じように窓から二人を覗き込む男たちが。
そう、それは今日任務から帰って来たばかりの特殊部隊の騎士達だった。