櫻の王子と雪の騎士 Ⅲ






 ◆




 第三校舎内でもじもじしていた二人は、ようやく祭りで賑わう街に繰り出すことに。




 楽しそうに並んで歩くルミアとシェイラ。



 なんだかんだ言って嬉しいのだろう、久しぶりに一緒に居れるこの時間が。




 しかしその数十メートル後ろをこそこそ隠れながら付いて来る団体が一つ。



「ちょっと、何であんた達が付いて来るのよ!!」


「お前らも人の事言えないだろ!邪魔だって、人が多いと目立つ!!」


「そちらが明らかに多いんです!」



 ローグとアネルマは勿論、男性陣はジンノを始めとした特殊部隊の面々がもれなく全員そろっていた(アイゼンはお仕置きのためお留守番)。



 オーリングやラウル、ウィズの様に純粋にシェイラの応援をする者もいるが、それ以外はジンノ同様二人のデートを快く思っていない面々ばかり。



「調子に乗りやがって!!誰の許可を得てデートなんか...!!!」と見るからに不機嫌なジンノをイーリスとリュカは鎮めようと努力する。



「まあまあ、落ち着けジンノ」


「そうだよ。二人が決めたことに俺達が口出しは出来ない」



 いい加減大人になりなよ。



 呆れた様にそう言った。





 一方、アポロやネロはジンノと同じように黒スーツにサングラスをかけて物陰からルミア達を真剣な顔で覗き込む。



 と言ってもネロはアポロに付き合わされただけで、若干困ったように笑う。



「よくも俺らのルミを...!誰にも渡さん......!!」



 アポロの方は全力で邪魔する気満々のようだ。



 加えて彼らの熱意に押され、ローグまでも感化される。



「同感です。今さらですがルミア様はまだ殿下には早すぎます!手を出そうものならお仕置きですよ!!」



「よっしゃローグ!!こうなったら協力してデートを阻止するのだ!!」



「「えいえいおーー!!!」」



 すっかり気が合ったローグとアポロは拳を突き上げる。 





「ホントにあんた達どうかしてるわ」



 アネルマは呆れたようにそう言って、頭を抱えるのだった。


 
 

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