櫻の王子と雪の騎士 Ⅲ






 一方、ここで事件が発生する。



 ルミアの後から「(何か、造るのかな...)」と覗き込もうとしたシェイラ。



 彼は、突如として現れた大きな手に背後から口をふさがれ、人混みの中に連れ込まれた。



「んんっ!!?」



 そのまま薄暗い路地に引きずり込まれる。



「んーっ...ぷはっ!!何ッ...!!?」



 何とか押さえつけてくる手を振り払ったシェイラがそこで目にしたのは、



 黒々としたオーラを放つ狂気の人



 ジンノその他、ルミアとのデートを阻止しようと目論む特殊部隊の面々だった。





「...テンメェ...誰の許可得てルミアとデートしとんじゃ!!調子に乗りやがって!!」


「いくらシェイラ様でもルミア様とのデートは許しかねます!!!」


「ずるいよっ俺ともまだデートしたことないのに...!!」



「ひっ!!!」





(やばい...!!浮かれててすっかり忘れてた...!!!)





 ローグやアポロはともかく、



 この人の事を忘れるなんて





「お兄様の存在...!!忘れてたわけじゃあるめぇ...!!!」





 この魔王の存在を、忘れるなんて!





「覚悟!!出来てんだろうなああ!!!!!」






 あ、死んだ



 憐れ、シェイラはその時本気でそう、思ったという――





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