櫻の王子と雪の騎士 Ⅲ
Ⅸ*いざ、開幕!
◇◆◇
パンッ!! パァンッ!!!
青い空に開会の合図である花火の白い煙が咲き乱れる。
舞闘会の本会場となる巨大ドームがあるフェルダン=ルシャ王都の西リーリエ地区は朝から人で大賑わいだ。
普段はスポーツの試合などが行われる巨大ドーム
しかし舞闘会の時期になると魔法使いの戦闘に対応した魔導壁を設けた闘技場に早変わりする多機能施設なのだ。
《さあさあ!待ちに待った舞闘会の始まりです!!!皆さん盛り上がってますかーー!!!》
元気な声のアナウンスが会場中に響く。
フェルダンの国民だけではなく他国からも人が大勢集まってきているため会場は当然のように満員で、アナウンスの声に全体がワッと湧いた。
そんな大勢の観客の中に、何やら見慣れた顔が三つ。
アイルドールでルミア達に命を救ってもらったカーリーとノエル兄弟、とその母親である。
「うわああ!!すごいやっ!もう始まる?ドキドキするねノエル兄ちゃん!」
「こらカーリー、席を離れちゃだめよ!」
一般観客席に仲良く座る三人は、舞闘会をわざわざ見るために遠いアイルドールからやって来た。
兄のノエルは、あれからアイルドールの軍に入り日々鍛錬に勤しんでいた為、リュカ譲りの白いキャップが似合う男に幾分か成長していた。
「カーリー落ち着けって」
「大人ぶんなよ、兄ちゃんだって楽しみで昨日寝れなかったくせに」
「そ、そりゃあ、だって…リュカのお兄ちゃんが出るし…」
「ルミアお姉ちゃんもいるかもしんないんだよ!」
二人は期待に胸を膨らませて闘技場をのぞく。
その様子を母親は嬉しそうに横から見つめるのだった。
再びアナウンスが再開する
《皆さんお待ちかね!舞闘会の主役、各国を代表する騎士たちの登場です!!会場の中央をご覧ください!!!》
アナウンスの一言を皮切りに、闘技場に四か所ある入口から国章の入った旗を掲げながら騎士たちが入場を始めた。
合わせて簡単な紹介分が流れる。