櫻の王子と雪の騎士 Ⅲ









『さてさて!!第二部門《Duell》中盤に入ってきました!!多少の波乱もありましたが着実に屈強な騎士達が勝ち上がってきております!!
お次は間違いなく今回の《Duell》で最も注目を浴びているフェルダン王国のネロ・ファーナー!!!二回戦です!!!果たして彼は今回も戦うのか!?はたまた棄権するのか!!?注目です!!』





アナウンスと同時に、ネロがステージに入ってくる。


ロッシュの前で泣き腫らしたため目元や鼻が僅かに赤くなっているようだ。


ズズっと鼻を啜りながら、自分の立ち位置につくと、 ネロは一片の迷いもなく左手をあげようとする。


ロッシュにああ言われた今、もはや棄権するという事に躊躇いは一切ない。


なにより、負ければ騎士生命が終わる、それを知って挑む馬鹿などいるはずない。


そう確信してた。





なのに。




「ぜひとも手合わせをお願いしたい!!」


…馬鹿は存在していた。




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