櫻の王子と雪の騎士 Ⅲ
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ライラック
淡い紫の花弁が可愛らしい小さな花だ。
『...これ、』
『わあっくれるの?ありがとう!...いい香り』
それを始めて贈られたのはリラとグロルの二人が出会って最初のリラの誕生日だった。
腕いっぱいに大きな花束を抱え、リラはその甘い香りを思いっきり吸い込む。
この花にはこんな言い伝えがある。
ライラックの花びらは四枚だが、花びらが五枚のものを見つけて黙って飲み込むと、愛する人と永遠に一緒に過ごせるというもの。
もちろん、グロルはそれを知らない。
『初めてだなあ...グロルさんにプレゼント貰ったの』
『......また、来年も必ず贈る』
『ふふっ待ってるね』
二十年という月日を経て、二人の恋はようやくゴールを迎える。
リラが過ごすあの家の窓際には、花瓶にいけられたライラックの花が風に揺れている。
一人お留守番のゴロ助がニャーーンと大きく欠伸をしたのだった。
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ライラック(リラ)
――花言葉『初恋』『恋の芽生え』
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fin.side by Grol