櫻の王子と雪の騎士 Ⅲ
ことの発端は先日行われた満月の夜の宴会にまで遡る。
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皆で戦いの労をねぎらい、酒だ宴だとどんちゃん騒ぎをやっていた頃
特殊部隊の面々はシルベスターと共に国王の執務室に招かれていた。
まだ宴の前半だったこともあって酒に酔ったものも居らず素面のまま。
アイゼンに関しても、酔っ払ってはいるが話を聞ける程度にセーブしているので安心だ。
流石酒豪、飲み慣れている。
そんな隊長を先頭に特殊部隊の面々は、シルベスターの前へずらりと整列した。
シルベスターは自身の椅子に腰を据え、その圧巻たる光景に感動のあまりため息をこぼす。
「今回皆を呼んだのは他でもない。ルミア、前に出てくれ」
「?」
なんのこっちゃ分かっていないルミアは、言われるがままにシルベスターの前に進み出た。
シルベスターは含んだような笑顔を浮かべ、デスクの上に置いてあった資料を手に取りながら立ち上がる。
「ルミア・プリ―ストン。君をフェルダン王国国王シルベスター・フェルダンの名のもとに、本日付でフェルダン王国騎士団近衛兵特殊部隊の一員として正式に任命する」
シルベスターのその言葉に、ルミアは目を丸くして驚いた。
まさか今のタイミングで伝えられると思っていなかった特殊部隊の面々は一様に驚きの色を滲ませる。
「ほ、本当ですか」
「ああ勿論。試験に合格していたし、今回の事件での功績もある。申し分ない条件が揃ってるんだ。ここで君を採用しないなんて馬鹿だよ」
俺は馬鹿じゃない。
シルベスターはにっこり笑う。
「さあこれで新生・特殊部隊の誕生だ!!」
嬉しい知らせにルミアだけでなく、そこに居た皆が両の手を上げて喜んだ。
「やったなルミ!!これでルミも特殊部隊だ!!」
「一緒に仕事ができるな!!」
「うんっ!ホントに嬉しいっ!やっと皆と一緒にいられるっ」
アポロとルミアは子供のようにはしゃぎ、アイゼンは豪快に笑う。
ジンノやオーリング達もその光景を温かな眼差しで微笑ましく見つめていた。