櫻の王子と雪の騎士 Ⅲ
ロランも同様に驚きと興奮で瞳を輝かせる。
「まったく、君には驚きだ。本当にただの教員か?」
「勿論。そう言ったじゃない」
「...もしや、この国の特殊部隊の人間では?」
探りを入れてみるが、ルミアは表情を崩すことなく笑い飛ばす。
「...ははっまさか。もし私が特殊部隊の騎士なら、貴方達はこんなもんじゃ済まないわ」
彼らは『バケモノ』
教師“リリー・ホワイト”に徹する身としては、こう答えるのが正解だろう。
「彼らはこの国の至宝。とてもじゃないけど、私みたいな一介の教員が彼らと比べられるなんておこがましいにもほどがある」
「...なるほど。だが俺も自分の目には自信がある。何人もの戦士を見て、この手で殺してきた。はっきり言おう、お前は特別だ」
だから、何としてでも手に入れる。
ロランはそう言うと、右手でパチンと指を鳴らした。
その瞬間
ドォン!!
「ウアアッ―――!!!!」
爆音とともにユウの鈍い叫び声が部屋に響いた。
「ユウ!?」
「ーーーッゔゔ!!」
ユウの左腕が爆発したのだ。
正確には外部の何かが、腕を狙って爆発したように見える。
彼の腕は血まみれになっていて、痛みに耐えるユウは傷を抑えて座り込んだ。
ルミアは治療をしようと急いで駆け寄るが、ロマンの部下達が邪魔をしてなかなか近づけない。
どうやら先ほど倒した三人よりも力があるようだ。
「......何をしたの」
「ふっ簡単なことさ。ユウの身体には起爆式の式神を複数仕込んでいてね、俺の合図で爆発する。魔法さえ使えれば簡単に防げる程度の爆発だが、生憎こいつは魔法も使えない非力な一般人だ。あっという間に死ぬぞ」
リリー・ホワイト
「立場を理解した方がいい。君は今、俺の支配下にある。こいつを救いたいのなら、言うことを聞くんだ」
ロランはそう言って、不気味に笑った。