櫻の王子と雪の騎士 Ⅲ
「...分かった」
ユウは耳を疑った。
それはルミアが、ロランの言葉を肯定した声。
ユウを守る為にその身を差し出すことを了承したものだったから。
「そんなっ!!...ッ駄目だ先生!その人の言いなりなったら!!俺のことはいいから逃げて!!!」
ユウが必死にそう叫ぶが、ロランが再び指を鳴らし、今度は右足が爆発する。
「うあ゛あ゛!!!」
「ユウ!?」
爆発した右足は腕と同様血だらけで、ユウはその場に倒れ込み痛みに顔を歪ませる。
そんな痛みで苦しむ実の息子へロランは冷たく言葉を吐きかける。
「邪魔をするなユウ。次は頭だぞ」
「やめなさい!!言うことは聞くと言ったでしょう!?私を好きにしていい、ただユウに、私の生徒に、手を出さないで!!!」
「せ、せん...せい...駄目、だ...ッ」
苦しげに呻くユウ。
そんな彼に、ルミアは優しく微笑みながら言う。
「ありがとね、でも、私これでも教師の端くれなの。生徒は守らなきゃ」
その時の彼女の笑は、ひどく美しく、そして
ひどく、強く輝いて見えた。
「実に利口で、立派な娘だ。さあ、こちらへ来い。もっと近くへ」
ルミアは改めてロランの方を向くと、彼の手招きに従うように一歩ずつ近づく。
そして静かに、ロランの目の前へ立った。
するとロランはニヤリと笑いながらとんでもないことを言い出す。
「...服を脱げ、リリー」
「...は?」
「ここで、俺の目の前で、脱げと言っているんだ」
予想もしていない理解不能な発言にルミアは眉を顰めるが、そこは騎士としての度胸が出たのか、「...はい」と頷き恥ずかしげも無く自分が着ていた服を脱いでいく。
一枚、一枚、何の躊躇もせず。
そしてとうとう身に付けているのは下着のみになった。
ロランの目の前に、ルミの白い肌が惜しげもなくさらされる。
「...美しいな、近くで見るとよく分かる」
ロランのいる祭壇の中央部の天井には天窓があり、そこから注がれる光が丁度ルミアに当たる。
真っ白な光の下に佇む彼女は、別人のようだった。
白髪はキラキラと輝き、肌はより一層白く透き通る
スラリと伸びた手足は余分な脂肪はついておらず、よく引き締まっており、
その割に出る所はきちんと出ている、とても魅力的な女性の身体がそこにはあった。