櫻の王子と雪の騎士 Ⅲ





 ロランが、鋭く尖った爪をルミアに向けて振り下ろす。



 氷の刀でそれを受け止めながら、ルミアはロランの耳元で囁いた。






「貴方は強い。戦いは楽しかったわ...でも」
 





 残念、もう時間よ







 甘い囁きと共に、ロランの攻撃を止めていた力がフッとなくなる。



 狐の能面が、真っ白な彼女の身体が粉雪になって消えていく。



(!!?これも幻覚か!!...いや、変わり身だった!?)




 そして




 真っ白な雪の中から現れたのは、真っ黒な野獣


 
 ロランと同種の、血に飢えたバケモノ




「フェルダン王国国王軍近衛兵特殊部隊が騎士、二席副隊長ジンノ・プリ―ストンだ


 覚えておけ!!!」





 〈魔王〉ジンノだった。





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