櫻の王子と雪の騎士 Ⅲ






 一方、



 その病室の外にいたルミアは、扉の外に座り込む。



 そして



「はああーーどうしようぅ~~」
 


 頭を抱え込んでいた。




 *




 時をさかのぼること二日前。



 魔法学校の第三校舎での騒動が終わり、生徒たちの救出・がれきの撤去等をしていたジンノとルミアの元に王宮待機組だったオーリングがやって来た。



 セレシェイラを連れて。



 オーリングの仕事は王宮に残っていたシェイラの護衛。本来ならアイゼンと一緒にやるはずだったが本人のわがままのせいで一人でやる羽目に。



 王族の護衛には必ず特殊部隊のうち一人がつかなければならない。



 故にオーリングは、シェイラと一緒に行動するしかなかったのだ。





 オーリングとともにやって来たシェイラは驚愕した。



 今回の暗殺部隊《オーディン》解体の極秘任務は、国王のシルベスターと特殊部隊の間でのみ交わされたものでシェイラは知らなかったのだから。



 ぽかんと口を開けて無残に壊された歴史ある建物を見上げる。



 戦いに巻き込まれた生徒たち



 ぼろぼろの青髪の青年



 同じく青髪で、彼以上にボロボロなっている明らかに悪人顔の男。



 サングラスでイラつく表情を隠したスーツ姿のジンノ



 そして



「は、...?」



 シェイラの目に飛び込んできた衝撃の光景。



 それは、白いシャツ一枚だけを身に纏い、肌を惜しげもなくさらしまくった無防備すぎる姿のルミアだった。



 にっこにこ笑いながら生徒達と話しこむ彼女の目がシェイラの姿を捕えた瞬間、表情から笑みが消えて目をぱちくりさせる。



「...あ、え、シェイラさん?」


「ルミ?...一体、なんでそんな格好...」



「おお、お前来たのか。王宮で黙って仕事してればいいものを」



 同じくセレシェイラを発見したジンノがイラつきを隠しもせずに不愉快そうな顔でシェイラにメンチを切る。



「何があったんだここで、ジンノ」


「別に。お前なんぞに教えることは何もない。俺達の問題だ、王子様は黙ってろ」


「はああ!?」


「兄さん!!言いすぎっ!!」


「おいおい二人とも!何おっぱじめようとしてんだよ!?」



 今にも喧嘩を始めようとするまさに一触即発の二人の間に、ルミアとオーリングは慌てて入り込み止めるのだった。





< 97 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop