正しい笑顔の作り方。

一章 : 生徒会の王子様

偽りの笑顔

ザァァァ...


どんよりと曇った厚い灰色の空から、打ちつけるように激しく校庭に降る雨。



梅雨かぁ。


雨は好きじゃないな。



窓際の席から頬杖をついて外を眺める私は、そっとため息を吐いた。



「ちょっとハル〜。朝っぱらから暗いぞ！」


「だってじめじめするんだよー！」



1人のクラスメイトが近寄って来たのを合図とするように、すでに登校していた他のクラスメイトもワラワラと私の席に寄ってくる。



「分かるー。髪もはねるしね。」


「テンションも下がるし！マジで雨嫌いー。」


「あんた太陽も嫌いとか言ってたじゃん。もう住むとこないよ？」


「あはは！大丈夫。いざとなったら土で暮らすわ。」



「ふはっ！なにそれ！」



私は今日も、いつもとなんら変化のない完璧な “作り笑顔” でみんなの会話に溶け込んだ。