ガラスのハート

「えぇ、良いですよ」

 真一は驚きながらも、ズボンのポケットからシルバーのライターを取り出した。

 それは、いきなり話かけられたことに対してよりも、麻里子の印象だ。

 たったひとことの話し方で、こんなにも人の印象は変わるものなのか。

 控えめで上品な言い方は、真一の先入観を崩すには十分すぎた。

「ありがとうございます」
< 19 / 84 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop