ガラスのハート

 ふたりが男女の関係になるまで、そう時間は掛からなかった。

 真一は月に一・二度ある出張の日、出張先のホテルに麻里子を招き入れるのが恒例となった。

 会社にバレないようにしなければならないが、なぜだか、それもまたスリリングで、隠蔽工作は苦ではなかった。

 ここ数ヶ月は、出張のない日にも出張だと偽り、麻里子とホテルに泊まることもある。

 そのような日は翌朝の出勤に間に合うよう、深夜にホテルを出て、麻里子を車で家まで送り、その後、直勤する。

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