ガラスのハート
だが真一は、菜々美より麻里子との愛が大きいからといって、菜々美との離婚は考えられなかった。
不倫がバレれば、会社での面子もあるし、子供たちのこともある。近所の目もある。
40歳の真一には、離婚したことによって生まれるリスクのほうが、大きかった。
麻里子のことは確かに愛しているが、社会的な地位や家庭を失ってまで、麻里子と一緒になりたいとは思わない。
バレなければ良い。面倒くさいゴタゴタは嫌だ。
それが真一の本心だった。