ガラスのハート
麻里子がハッと唇に手を当てた。
「ひき逃げだけじゃなく、僕と君の関係はバレたら、僕らはどうなる?
僕は会社でどうなる?
僕の子供は世間から『ひき逃げ犯の子』という目で見られることになるんだぞ!」
「だって、あなたが気づかなかったから…」
「確かにね。だけど君だって、同乗者だ。君のお店はどうなる?
僕がひき逃げ犯だと公(おおやけ)に知られれば、君のお店だって、『ひき逃げ共犯者の店』って目で見られ、お客さんが来なくなるかもしれないんだぞ」