ガラスのハート

 麻里子がハッと唇に手を当てた。

「ひき逃げだけじゃなく、僕と君の関係はバレたら、僕らはどうなる?

 僕は会社でどうなる?

 僕の子供は世間から『ひき逃げ犯の子』という目で見られることになるんだぞ!」

「だって、あなたが気づかなかったから…」

「確かにね。だけど君だって、同乗者だ。君のお店はどうなる?

 僕がひき逃げ犯だと公(おおやけ)に知られれば、君のお店だって、『ひき逃げ共犯者の店』って目で見られ、お客さんが来なくなるかもしれないんだぞ」

< 41 / 84 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop