ガラスのハート
第5話 離れてゆく心
東京の六本木にあるホテルは、外から見ると、明かりが灯っている部屋が多かった。
ふたりがいつも密会に利用するホテル。
妻子と暮らす真一の自宅や勤務先の会社は、どちらも中央区にあった。
自宅からほどほどに離れ、かつ、勤務先から電車で一時間ちょっとで行ける場所が、六本木だったのだ。
真一が到着したときには、時刻は約束の夜八時を少し過ぎていた。