食べちゃうよ。




我ながら可愛くない。

もっと気の利いたことを言いたいのに。




でも、諒君は笑いながら言う。




「凄腕バイト?何それ」



「何それって……

諒君のことじゃん」



「そうなの?

確かによくシフトに入って、しごかれはしたけど」




諒君は困った顔をする。



諒君、自覚ないんだ。

今日の仕事っぷりも凄かったのに。

違う諒君の一面を見て、さらに惚れてしまったのに。





「でもいいや!

そう言われてるなら、またヘルプに来よっと」




諒君はにぱっと明るい笑顔を作る。

そして、つられてあたしも笑ってしまう。




不思議だな、こうやって諒君といると、自然とバイトが楽しいと思ってしまう。

諒君の力ってすごい。





「だってね、ヘルプに来たら、ちーちゃんといちゃいちゃ出来るもん!」



「いちゃいちゃ!?」



「うん。

……ねぇ、ちーちゃん?」




不意に真顔になる諒君。

そして、あたしの顎をくいっと掴む。

あたしを覗き込む諒君は、どこか野生的で色気もあって。

やばい……心臓止まりそう!





「あんなチュウで俺が満足したと思ってる?」




え!?




「俺は……」




諒君がゆっくり口を開いた時……




「八代君!!」




背後から超邪魔者上野さんの声が聞こえた。






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