食べちゃうよ。





諒君はあたしを見てくすりと笑い、



「はい!」



いつもの明るい声で返事をする。

そして、あたしの顎から手を離し、後ろを振り返った。

それと同時に、靴箱の陰から上野さんが現れた。

どうやら上野さんには見られていないらしい。

上野さんはいつもの偉そうな口調であたしたちに告げる。




「八代君は俺とチェンジ。

一階を手伝ってあげな。

川島は俺と二階」



「えっ?最悪」




思わず口に出してしまう。

すると上野さんはあたしを見て、再び口を開く。




「川島はチャラいからな。

八代君を襲おうとしてたんだろ?」



「それ、逆ですよ?」




そう言ったあとにはっと気付いた。

あたし、何てことを言ってるんだろう。

上野さんはあたしと諒君の関係を知らない。

それに、諒君がサボってるって言っているのも同然だ。

つい、上野さんがウザくて……




< 110 / 172 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop