食べちゃうよ。







ある日の夕方、実験もないあたしは、暇を持て余していた。

こんな時こそ八代君。

今日もその笑顔に癒してもらおうと思い、八代君の家を訪ねる。





ピンポーン。




いつものように、何の躊躇いもなくチャイムを押した。



すると……




「はぁい」




開けられたドアからは、いつもの笑顔の八代君が顔を覗かせて。

そして、部屋の中からはキャハハハッと女性の楽しそうな笑い声が聞こえてきたのだ。






硬直するあたし。

今まで、八代君の家に女性といるところなんて見たことがなかった。

だけど、きっとそれはあたしが知らなかっただけ。

八代君にとってあたしは特別だと思っていたのに、全然特別じゃなかったことに気付く。






「ごっ……ごめん!

八代君、お取り込み中だったね」




なんて咄嗟に言って、あたしは扉を閉めた。





八代君の家を出たのに、



ドキドキドキドキ……



心臓だけが嫌な音を立てている。





あたしの自惚れ屋。

あたしの恋……終わった。




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