食べちゃうよ。
上野さんは真っ赤な顔に焦点の定まらない瞳で、驚いたように諒君を見た。
諒君はそんな上野さんをじっと見つめる。
ドキドキドキドキ……
あたしの体に緊張が走る。
あたし、諒君に何言わせてるの?
本当はあたしから伝えないといけないのに。
上野さんのことは苦手だけど、誠意を持って返事しないと。
「……ごめんなさい」
あたしは上野さんに告げる。
「あたしは、諒君が好きです」
上野さんは悲しそうな顔であたしを見た。
いつもはムカつく上野さんが、なんだか壊れてしまいそうだった。
上野さん、ごめんなさい。
気持ちに気付かなくて。そして、応えられなくて。
でもあたし、少しだけ嬉しかったな。
上野さんが心からあたしを嫌っているわけではないと知って。