食べちゃうよ。





少し心が晴れた。

そして、前向きになれた。

全て話してお互い納得しないと。

こんな悶々とした気持ちを抱えてちゃ、いけないよね。

そう思って校舎を出た時だった。






「千草」




不意に男性の声で名前を呼ばれ、ビクッとする。

そして身構えた。




あたしはこの声を知っている。

昔は大好きだった、よく通る低めの声。

だけど、この声であたしとの関係は遊びだったと告げられた。

今日みたいに晴れた日だった。






「なに、直斗?」




振り向き、近寄らないでというオーラを渾身に込めて、直斗を見る。

あたしの視線の先にはやっぱり直斗が立っていて。

にこっと笑いながらあたしを見ていた。




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