食べちゃうよ。





この笑顔が好きだった。

この裏のなさそうな笑顔に騙されていた。




ふと、諒君の笑顔が浮かぶ。



だめだよ、諒君は直斗と違う!






直斗は笑ったまま、言葉を続ける。




「まぁ、そんな嫌がるなよ」




嫌がるに決まってる。

だって、直斗はあたしに貢がせて、あたしを好きって言って……嘘ついたんだもん。

あの頃は浮かれていて分からなかったけど、今はひどく憎い。

あたしのお金と時間、返してよ!






「そんなぶすーっとしてたら、新しい男にも逃げられるぞ?」




軽くそんなことを言うけど、あんたのトラウマのせいで逃げられそうだと言いたくなる。

……そう、弱いあたしは、全てを直斗になすりつけようとしていたのかもしれない。




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