食べちゃうよ。





「……ね?

俺たち、お互いのこと大好きなんだよ」




諒君は直斗に静かに言う。

諒君はこんなに冷静なのに、あたしは身体全身で諒君に酔っている。

ふらふらする足で踏ん張って、立っているのがやっと。





「俺、君の分もちーちゃんを大切に出来るから、安心しなよ」




諒君の言葉に、直斗は黙ってあたしたちを睨む。

刺されてしまうような視線だった。





でも……




チッ……




直斗は舌打ちをして、踵を返す。

そして、無言であたしたちに背を向けて去っていった。







諒君の言葉が、すごく嬉しかった。

諒君があたしを大切に出来るって言ってくれて、涙が出そうだった。

あたしも諒君を信じたい。




でもね……

解決していないよね、沙織のこと。




< 161 / 172 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop