食べちゃうよ。
「ちーちゃん、どうしたの?
珍しいね」
あたしの部屋に入るなり、諒君は言う。
ぎくりとするあたし。
思い返せば、だいたいいつも諒君からの誘いだった。
あたしは実験で遅い日が多いし、諒君が忙しかったらなんて気を使いすぎていた。
あたしは平静を装い、
「うん、暇だったから」
そう言った後に言い直した。
「諒君に会いたかったから」
ドキドキドキドキ……
相変わらず鼓動が速い。
あたしの気持ちと焦りを見透かされそうで怖い。
諒君は少し驚いた顔であたしを見て、
「そっか。俺も」
なんて笑う。
いつもの諒君だ。
そして、あたしの誘惑、全然効いていない。
諒君、鈍いのかな。
もしかして、もっと積極的にいかないといけないのかな。
麻痺する頭で考えた。
だけど、どう誘惑したらいいんだろう。
こうなったら……
お酒の力を借りるしかない!?